甚右衛門の活躍
前回は笠付円盤形という変わった形の石仏を紹介しました。
この形の石仏を初めて作ったのは、以前から何度か紹介した石工 中川甚右衛門です。
富山市文珠寺にある石仏は、主尊が「如意輪観音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)」様で、文政6年(1823)の作です。如意輪観音様は、4本の腕を持ち、右腕の一本を頬に添えて思惟(しゆい 考えること)する姿が特徴です。智慧や福徳、延命のご利益があります。
光明真言曼荼羅(まんだら)世界を表した石仏の意匠・構成は、仏教に詳しい僧籍者の考案と考えられますが、一定の様式を確立していったのは甚右衛門の力量と言えます。喜右衛門はそれを継承し、昇華させていったのです。
甚右衛門がパイオニアとして新しく始めた様々な試みは、やがて常願寺川石工の伝統として完成していったのです。
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