宝篋印塔 月岡西光寺

富山市南部の月岡町にある浄土宗西光寺の宝篋印塔(ほうきょういんとう)は、一見他の宝篋印塔と変わりないようですが、ちょっと違います。

幕末近い天保12年(1841)のものです。

富山の宝篋印塔の多くは、安山岩という火成岩で造られています。これはその石が軟らかいため加工しやすく、風化しにくいという素晴らしい性質があるからです。でもこの塔は、花崗岩という深成岩です。

富山でも早月川から良質の花崗岩が産出しますが、きめが粗く、細かい細工には向きません。この花崗岩は、きめが細かい兵庫六甲花崗岩、いわゆる「御影石」製です。江戸時代この石は、とても高価で、富山藩主前田家墓所や、神社の鳥居など多額の寄進により造られたものだけでした。一般に流通するようになったのは明治に入ってからです。

この宝篋印塔は、西光寺の前身大安寺からの信徒様の墓所にあります。立派な山門のすぐ横の境内内にあり、ほかの信徒様とは別格の扱いです。お寺様に聞いたところ、両替商だったお家とのこと、納得ですね。

ちなみに石積みの基壇二段の石は、常願寺川の安山岩玉石を割って積んだものです。きれいな組みかたですので、ここも見逃せないところです。

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