上滝不動磨崖仏

富山市南東部の上滝町に、大岩不動と似た磨崖仏があることをご存知の方は少ないと思います。富山地方鉄道大川寺駅から線路沿いに徒歩5分、曹洞宗不動寺の境内に「上滝不動磨崖仏」があります。

磨崖仏は高さ15mの崖面に彫られています。

高さ4ⅿあまりの不動明王坐像を中心に、左に1.5ⅿの阿弥陀如来、右に僧形坐像を浮彫します。地質は凝灰岩で軟かいため、ほとんど剥落して盛り上がっているだけです。わずかに元の彫刻面が残るだけです。

この磨崖仏は、江戸時代に大岩不動磨崖仏を模倣して作ったといわれてきましたが、大岩不動と同じ平安時代末頃の作と思われます。江戸期には立山信仰の繁栄とともに、その経由地であった上滝不動もにぎわいました。川向かいは立山行きの起点、雄山神社前立社壇です。

隣接する瀧社は、不動寺の本寺大川寺(もと真言宗)が守護しました。不動明王様は、滝のある地におり、修行者を導く仏様でもあります。上滝・瀧社の「滝」はお不動様と深く結びつくのです。

忘れ去られた立山信仰の重要な場所、復権を期待したいですね。


1枚目の写真は外観。ドローンで撮影したパノラマ写真です。

2枚目の写真は、覆屋内部の不動明王摩崖仏。iPhoneでのパノラマ写真。とても狭い場所で撮影は苦労します。

3枚目の図は、スケッチによる全体図像です。

富山石文化研究所ブログ

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