富山町石工 伝右衛門のルーツ

夏に訪れる人の多い、上市の「大岩山日石寺」。平安時代の大岩不動摩崖仏(国重文)や滝修行で有名ですね。冷やしそうめんもおいしいですが。

ここにはあまり宣伝されない、素晴らしい江戸時代の石仏や燈籠もたくさんあるので、紹介します。

写真の燈籠は、六本滝の手前右手にあります。安永2年(1773)年富山の信徒19人が寄進したもので、ちょっと立派だな、てなもんです。この燈籠の製作石工は富山の「山城伝右衛門」です。砺波市千光寺の宝篋印塔(ほうきょういんとう)で紹介した、あの伝右衛門なのです。これはそれより13年古いものです。基礎は苔むしていましたが、許可を得て苔を取り除くと、なんと龍の彫り物が顔を出しました。立派な龍です。意匠は千光寺と同じで、4面に分かれて彫られています。ぐるっと見るのはたいへんですが・・・

伝右衛門は、最初佐伯ではなく、山城と名乗っていました。山城は姓かもしれませんが、私は山城国(今の京都南部)の出身か、山城で石工修業をしたのでそのように名乗ったのだと思います。伝右衛門のルーツを知るとともに、伝右衛門の一番古い石造物がここにあったという2つの点で、貴重な燈籠なのです。

滝のすぐそばに龍の燈籠をおいて、水の神様に守護していただいているのです。滝修行をされる方にも是非知ってもらいたいですね。お寺様にはきちんと報告しておきました。


富山石文化研究所ブログ

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