立山山麓の近世石造物【栄蔵】その2

中嶋栄蔵が当初手掛けた閻魔堂六地蔵は、同右横の石仏群最上段にあります。中央の聖観音は甚蔵の作です(⇒2020年12月14日立山山麓の近世石造物【甚蔵】)。

もとは布橋の先にあった姥堂境内にあったといいます。

この六地蔵の製作経緯については、古文書が残されています。石工仕事としては珍しいことで、当時の費用などがわかり、たいへん貴重と言えます。

福江充先生の研究により、その詳細が報告されました(『近世立山信仰の展開』岩田書院2002年)。

石は布橋下を通るウバ谷川から取り、近くの仁王門そばで製作した。

製作は1年1体とした。

総経費は旅費も含め実質5両あまりだった。

ということがわかりました。現在に見積もると7万から10万円といったところでしょうか。安すぎる気もしますが、駆け出しの栄蔵にとっては貴重な仕事だったに違いありません。

これを機に栄蔵は石仏製作に励むことになります。

芦峅寺閻魔堂横の六地蔵(嘉永から安政年間) 最上段。中央は甚蔵作の聖観音

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