神通川石工 森井弥次郎
神通峡の入口、笹津村は、神通川をはさんで東西に分かれています。神通川右岸の笹津は「東笹津」で、飛騨東街道の通り町として栄えました。
明治から大正にかけて、ここに「森井弥次郎」という石工がおりました。神通川中~上流域の石造物を残しました。
集落南部にある笹津神社本殿前の小型狛犬一対には、「寄進 上新川郡西大森村」「之造森井弥太郎」の刻銘があります。明治31年の寄進です。
狛犬は硬い砂岩で、猪谷石ではなく、おそらく常願寺川のものと推定されます。
刻銘通りに読むと、狛犬の作者は「森井弥太郎」で、狛犬そのものを寄進したことになります。
弥太郎と苗字が同じで、名前が一字違いの弥次郎は、おそらく弥太郎の弟であり、二人とも石工だったと思われます。弥次郎は西大森村で石工修業後あるいは笹津に出て石工修業をし、笹津で独立して工房を構えたと思われます。兄弥太郎は、腰を落ち着けた弥次郎のいる笹津に、何らかのきっかけで神社狛犬を寄進したのでしょう。弟への励ましだったのかも。
笹津在住の北陸石仏の会の平井一雄様によれば、関係者から弥次郎は西大森から当地へ来たらしいとの情報があると教えていただきました。
兄弥太郎が弟弥次郎のいる東笹津の笹津神社に寄進した狛犬
東笹津(現 富山市笹津) 南から 神通川の河岸段丘面がよくわかります
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