立山山麓の近世石造物【甚蔵】その2

常願寺川石工北野甚蔵は、芦峅寺の真言僧龍淵上人にかかわる石造物をいくつか製作しています。

このうち、閻魔堂前にある「阿字観碑」は、安山岩の自然石に梵字(サンスクリット文字)「ア」を彫った石碑です。龍淵上人の発願で文政13年(1830)に造立されました。

まん丸い輪は月輪(がちりん)といい、その中に蓮華座に乗ったア字があります。

「ア」とは密教において、物事の始まり・根本としてとても重視されます。これを観じることで、宇宙万物の真理を体得することができるそうです。この「ア」字は、弘法大師の真筆とされています。

龍淵上人が亡くなられた天保8年(1837)、芦峅寺の信徒様はお世話になったお礼に、この石碑を龍淵上人の墓石として整備しなおされました。参道の向かい側に置いてある、てっぺんが凹んだ黄色い自然石は、整備前の台座と思われます。

僧龍淵が造立した阿字観碑(文政13年)

元の石碑台座かも?

富山石文化研究所ブログ

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