飛騨に進出した越中富山石工 その2
神通峡の入口、笹津駅の北側に「平瀬石材店」様があります。
平瀬の石工銘のある石造物が、神岡町中山や東茂住に3つあります。
中山の撞玉神社参道に、昭和10年の石仏があり、周辺にある「猪谷石」(考古学上の石の名称)という砂岩を使っています。彫りの深い地蔵様です。
東茂住の神明神社境内の安山岩製燈籠は、昭和33年のもので、「石工 平瀬鉄次郎」とあります。神明形という神社に特有の形ですが、竿がぶっ太く、飛騨特有の形にしてあります。
東茂住山中にある旧神明神社跡(今は平山神社跡と呼ばれているようです)には翌年製作の狛犬一対があります。尾の形が独特です。
石工平瀬鉄次郎は、今の平瀬石材店の社長様の父にあたり、もとは神通峡の片掛に工房があったということです。県境まで3kmと、飛騨にはより近いところです。
飛騨高山の丹生川や、木曽の佐久から石材を取り寄せていたということです。
東茂住の燈籠は、あまり見たことのない安山岩です。佐久市の岡本石材店様から取り寄せた「佐久石」(佐久市田口・青沼地区石切場産)は、燈籠の石とそっくりで、帯磁率も同じでしたので、燈籠は佐久石ということがわかりました。ちなみに佐久石は溶結凝灰岩という火山岩だということです。
江戸期の石工さんは在地の石材を主に使いましたが、近代に入って流通手段が便利になると、いろいろな石を取り寄せ、使いやすいものを選んでいたのですね。
笹津駅近くの平瀬石材店様。鉄次郎石工作の石造物も並んでいるそうです。
神岡町東茂住神明神社の燈籠。信州佐久石製です。太い竿は飛騨の特徴です。
東茂住のドローン動画をご覧ください。 https://youtu.be/K0NNYCRAVtY
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