猪谷石のこと
出張石工の話も長くなりましたので、ここで話題を変えましょう。
たびたび出てきた「猪谷石」をちょっと詳しく説明します。
聞きなれないのは、考古学の専門用語で、最近付けられた石の名前で、あまり認知されていない、究極のところ、ほぼ私だけが使っている石の名前だからなのです。
岩石学的には、堆積岩(たいせきがん)のうち砂岩(さがん)という石です。砂が堆積して石になったもの、つまり昔は海・湖だったところに生成したものです。石灰質ではないので、湖や大河だったのでしょうか。
砂の粒は、細粒のところと中粒のところが混じっています。あまり粗くはなく、硬い石ではありません。県内の河川にある砂岩は、たいがい粗粒で硬い石なので、猪谷石との違いは分かりやすいといえます。
この石は、これまで紹介した浅吉がいた布尻付近から、飛騨神岡の横山付近までの神通川両岸の山中に、大小の礫として存在しています。それが神通川に転がり落ち、中流付近まで運ばれていたようですから(ダムがない頃)、富山城下町周辺などでもこの石がたくさん使われました。
なのに、石の名前がこれまでなかったので、石の多く出る猪谷(西猪谷・東猪谷)の地名をとって名づけたのです。横山付近にもたくさん出るのですが、岐阜の地名をつけなかったのは、単純に地元愛とご理解ください。
砺波の金屋石のように、猪谷石の知名度が高まることを祈っています【猪谷石愛】。
写真は、飛騨横山地内の「猪谷石」山中礫
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