宝篋印塔の話 その4
宝篋印塔(ほうきょういんとう)の目立つ特徴として、上の方に、四隅が木の葉のように広がったところがあります。ここは笠(かさ)にあたり、木の葉部分は、「隅飾突起(すみかざりとっき)」といいます。
宝篋印塔の年代は、これまで、この隅飾突起の広がり方によって決まっているといわれてきました。年代が新しくなるにつれ、花びらにように開いて行くのだと。
ところが、たくさんの塔を調べていくうちに、この開き具合は、開いていく石工もいれば、だんだん立ち上がっていく石工、ほとんど変わらない石工もいたりして、石工ごとに全部違うのだということがわかりました。富山以外はわかりませんが、おそらく地域によっても違うのだと思います。石塔に造立年代が彫ってあるからわかったのですが、もし年代がなかったら通説をうのみにして、間違った年代を提示したかもしれないですね。仏様に失礼することろでした。
これは伝右衛門の天明6年(1786)の千光寺塔。
これは伝右衛門の文化13年(1816)の海禅寺塔。
新しくなると突起の下辺が立って(すぼまって)いきます。
伝右衛門は立っていき、甚右衛門は逆に広がっていきます。
それぞれ製作した塔の計測値を比較すると、下のような傾向が明らかになりました。
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