宝篋印塔の話 その2
前回は、四仏の四角い石をご紹介しました。
この石の下には、四仏の石より一回り大きな四角い石(写真の矢印の先)があります。
この石には、正面に「宝篋印塔」などの文字や「シッチリヤ」という宝篋印塔を意味する梵字(ぼんじ サンスクリット語)などを彫ります。
塔の多くには、「宝篋印陀羅尼経(正式名は、「一切如来心秘密全身舎利宝篋印陀羅尼経」という長いものです)」の一文を選んで刻んでいます。
塔を礼拝したときのご利益を説明したところが多いですが、塔により少しずつ違うようです。
小型の宝篋印塔を多く作った常願寺川石工観成(かんせい)は、字形、誤字や経文の一部変更を別の塔にも引き継いでいました。このことから経文は、僧籍者がいちいち筆で書いたものを彫る、というのではなく、最初に作った時の文字をテンプレートとして使い回したことがわかります。よく言えば、「省力化の工夫をした」のですね。
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