ヒスイの話 その1
石つながりで、ヒスイ(翡翠)のお話です。
宝石でもあるヒスイは、富山県民が興味深々な石です。きれいな緑色の硬いヒスイ(硬玉 こうぎょく といいます)は、日本固有のヒスイであり、中国や東南アジアのヒスイは少し軟らかい軟玉(なんぎょく)で、異なるものです。
ヒスイ海岸とよばれる朝日町宮崎海岸には、週末多くの県民が訪れ、躍起になって(?)ヒスイを拾う姿は、夏の風物詩にもなっています。もともとお隣新潟県糸魚川市の山間から産出し、沿岸流に乗って富山へ流されてきたのだといわれています。
今、富山が力を入れている「立山黒部ジオパーク」では、このヒスイの存在が柱の一つとなっていますね。新聞でもよく記事を賑わしています。
富山の縄文人は、ヒスイを宮崎海岸などで拾い、飾り玉として穴をあけて身に付けました。硬度8もある硬いヒスイに穴をあけること自体がとてつもなくすごいことなのですが、これは考古学者によりその方法が解明されているので、現在では驚くことではありません。そのほか、磨いて石斧(いしおの)にして、使ったのか飾り物としたのか、そういう製品もあります。ヒスイ文化は富山に根付いた石文化でした。
それほど富山の縄文人になじみのあったヒスイは、本当に富山から産出しないのか?というのは、古くから考古学者が疑問に思っていたことです。富山県内外の著名な考古学者は、実際に県内の川などを歩いて探したりしましたが、確認できませんでした。
新潟が産地なんだから、ない!とは言い切れないのです。地質学でいう飛騨帯の北端の糸魚川にヒスイがあるのですが、この岩体は立山連峰をぬけ、飛騨南部まで伸びています。この南端の高山市丹生川地区から、糸魚川に似たヒスイが産出することは、案外知られていません。ここから出たヒスイが神通川に流れ出ることだって・・・??(ありやなしや)。
【長くなるので、次回へつづく】
海岸で拾ったヒスイ。写真ではなかなか質感を出せないですね。
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